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質問回答:リーダーにナイロンを使う理由

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先日、twitterの方に設置している質問箱に、このような
「なぜナイロンリーダーを使っているのか」という質問がありました!

twitterの方には回答したのですが、ツイートだと書ける事に限りがあるので、ブログの方でちゃんと書いておきたいと思います。

また、リーダーやラインの素材などについては、おのおので考え方やこだわり等が多くあるかと思いますので、「これが唯一の答え」という気はさらさらないですが、何らかの参考になればと思い自分なりの理由・考え方について書いていきます。


では、自分がなぜナイロンリーダーを使うのかですが、その理由は大きく2つあります。
1.高切れ防止(ロングリーダー)
2.根擦れによるラインブレイク対策

これから詳しく説明していきますが、めんどうな話なので、上記の理由だけで満足な方は、他の記事などをご覧ください。(笑)

1.高切れ防止について(ベイトタックルのみ)
まず、ベイトリールの高切れについて書きます。
ラインの高切れが起きる原理は、バックラッシュ時にラインの放出が滞り、「スプールの回転の慣性力」と「ルアーが前に飛ぶ慣性力」が瞬間的に綱引きのような引っ張り合いをしてしまう結果、PEの結束部や細かい傷の入っている部分などに力が集中し、破断してしまうからです。

特に、PEラインは強度は非常に高いのですが、衝撃(瞬間的な力)に弱いという弱点があるので、バックラッシュ時の瞬間的に掛かった負荷で、非常に簡単に切れてしまいます。

そこで、ナイロンのロングリーダーです(‘ω’)ノ
バックラッシュは、起きるタイミングによりその原因は異なりますが、高切れをする場合の多くはキャストの初期に起きます。
そこで、キャストの初期をナイロンのロングリーダーに置き換えて緩衝材にするのです。

(釣り業界の概念は抜きにして)
ナイロン素材の特性として、PEラインのポリエチレン素材に比べ遥かに高い「衝撃吸収能力」を有しており、瞬間的な負荷に高い耐性があります。
(防弾チョッキの素材に使われていた事もあるはず)

そこで、タックルバランスにもよりますが、5~10m以上のロングリーダーを付けてあげることで、瞬間的な負荷を軽減し、いくらかの高切れを防ぐことができます。

DSC_0673

ただし、当たり前ですが。
重めのルアーに対して、細めのナイロンリーダーをいかに長くつけても、ナイロンの限界を超えてしまうので物理的に高切れを防ぐ事はできません。

基本的に、ルアー1gに対して1ポンドを基準にロングリーダーを組むと良いと思います。
サミングやキャストに慣れてくれば、少しずつリーダーの強度を落としてきても大丈夫です。

これが、ナイロンでリーダーを組む理由の一つです。

2.根擦れによるラインブレイク対策

一般的に根擦れ対策として使われるリーダーとして人気があるのは、フロロカーボンなんじゃないかと思います。
しかし、自分としては根擦れ対策として使うべきは「ナイロン」を置いて他にはないと考えています。

1の「高切れ対策」で、ナイロン素材の特性について軽く触れましたが、ナイロンには他にも優れた特性があります。
それが、「耐摩耗性」「引き裂き強度」の高さです。
この2点が極めて優れているので、ナイロンリーダーを使っています!

この点について説明していきますが、その前に「耐摩耗性」という用語の意味について書いておきます。

耐摩耗性の意味:
よくフロロカーボンラインのパッケージに、「耐摩耗性が高い」という記述を見かけます。
この「耐摩耗性」という言葉を釣り人が見ると、実際に使う事を考えて「根に擦れても切れにくい」という意味だと思いますよね。

ですが、一般的に耐摩耗性が高いというのは「表面が硬く、つるつるしている(摩擦係数が低い)」事を意味します。

つまり、
傷の付きにくさを表しています。

なので、凹凸のないストラクチャーに擦った場合などは、耐摩耗性が高いと比較的傷が入りにくく切れにくいと言えます。

ですが問題は、硬く尖った岩肌や鋭利な牡蠣などの貝類に、ガリガリっと当たった場合。
これは、局所的
に集中して力を加え、切り裂かれているような状態なので、摩耗ではなくどちらかと言えば「切断」です(笑)

結論から言えば、耐摩耗性と鋭い物に当たった時の切れにくさの指標は別です。

『耐摩耗性が高い=根擦れで切れにくい』とは、必ずしも言えません。

つまり、「耐摩耗性」だけでは必ずしも根擦れ対策にならないということです

さて、ではなぜナイロンを根擦れ対策に使うのか説明していきます(‘ω’)ノ
理由は、「耐摩耗性」と「引き裂き強度」の高さですが、耐摩耗性については言葉の意味を上で書いたので、「耐摩耗性が高い」という言葉だけで大丈夫かと思います。
では、引き裂き強度について説明します。

釣りをする中で、『ラインに傷が入った状態だと、そこに力がかかって切れやすくなる。』というのは、割と誰もが知っている事かなと思います(^^)/
このライン(素材)に傷が入っている状態で、どこまで耐えられるかを表すのが「引き裂き強度」です。

この点に関して言うと、PEラインやフロロカーボンラインは素材としても、引き裂き強度が弱いうえ、極細の繊維を束ねて1本のラインにしているので、繊維1本1本が切れやすく、簡単に傷が入って切れてしまいます。
(ちなみに、釣場にハサミやラインカッターを忘れた場合でも、25lb位のフロロなら尖った岩に擦れば切れるので、便利です(爆))

DSC_2958

根擦れによるフロロの繊維剥離


しかし、ナイロンはこの性能が非常に優れていて、根に当たって傷が入ってしまっても、フロロやPEほど極端に強度が落ちません。

このような特性から、
「高い耐摩耗性」で傷が入りにくく、万が一傷が入った場合でも、「高い切り裂き強度」で持ちこたえられるのがナイロン。
(この特性により切れにくいため、パラシュートのラインにも使われていたと思います)

自分がメインとするロックフィッシュゲームでは、根の荒い場所で根に擦りながらやり取りしなければならないギリギリの戦いがあります。
そのようなやり取りの中でも、最後の最後まで付いてきて戦い切れるラインだからこそ、信じてナイロンを使っているのです(^^♪


ちなみに、デメリットもあるので書いておきます。
素材特性上のデメリットは、いろいろありますが、釣りをする上で気になるのは「水を吸ってしまう」という事です。
(水を吸ってしまうのを知ってる人もいると思いますが)水を吸ってしまうと、若干強度などの特性が低下します。
まぁ、一日使ったくらいでは大丈夫だと思いますが、何日もリーダーを交換せずに使うとその性能を活かすことができなくなります。
できたら、1日1回程度はリーダーを交換するのがベストかと思います(‘ω’)ノ

以上が、自分がナイロンを選んでる理由です。
細かい理由は、他にもありますがここまでの話が一番大きな部分です。
賛否両論あるかと思いますが、自分はこのような考えのもと使っています。
また、釣りのシチュエーションなどによっても、フロロの方が良い場合もあるだろうし、適宜特性を理解して使い分けてあげると良いかなと思います。

その他、もし質問などがあれば、twitterアカウントが必要になりますが、こちらの方にお願いします(*^-^*)

自分に答えられるような内容であれば、できるだけお答えしたいと思います。

それでは、また!

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